航空産業が終わる!?VRのインパクト

先日、ANAがXプライズをスポンサー提供!というニュースがありました。

10億円(相当)を超える賞金で、野心的なビジネス・コンテストを開催するXプライズ財団。それだけ聞くと、「何それ?」って思う方が多いかもしれませんね。

でも、以下の様なニュースは聞いたことがあるのではないでしょうか。

「2004年、インドの富豪アンサリ家がスポンサーして開催された最初のXプライズは、民間による最初の有人弾道宇宙飛行を競うコンテストでした。そこで優勝したスペースシップワン社は10億円を超える賞金を獲得、直後にリチャード・ブランソン氏のバージン・ギャラクティック社と契約、民間による宇宙旅行を実現するべく、計画を進めています。」

このXプライズが原因、とまでは言えないでしょうが、米国のロケット打ち上げがすべて民間に切り替わってしまったのに大きな影響を与えたことは間違いないでしょうね。それほどのインパクトでした。

また、日本では、Googleがスポンサーし、賞金総額30億円を超える月面探査Xプライズに挑戦中のチーム、HAKUTOの存在が非常に有名ですね。

コンテストのためのコンテストって!?

さて、そのXプライズ、常時いくつかのコンテストを並行的に開催していますが、そのコンテスト内容は今まではXプライズ財団が決めたものでした。

しかし、新たな取り組みとして、そのコンテストの内容もXプライズ財団は今回から外部の組織と組んでコンペティションをを開催する方式になったようです。それがビジョネアーズ(VISIONEERS)。

コンテストのためのコンテストって、どんだけコンテストが好きなんでしょう!?Xプライズはネタが尽きたのか・・・!?

いやいや、そこにはXプライズの創設者、ピーター・ディアマンティスの信念が関わっていると思われます。コンテストの形で注目を集めることが大きな課題を解決するための一番の近道であると。

これはイーロン・マスクもそうですよね~、ぶち上げて仲間を募る、シリコンバレーマインドの象徴の一つなのだろうなと思います。

ちなみに、Xプライズの創設者でありCEOであるピーター・ディアマンティスはシンギュラリティ大学の共同創設者でもあります。コンテスト形式で世界規模の課題を解決するXプライズと世界規模の課題解決の手法をリーダーに教育するシンギュラリティ大学、この2つは裏表の関係にあるのです。

さて、この最初のビジョネアーズというコンペ、ななな、なんと、最初の優勝チームはANAのチーム(アバター)でした。日本の!

そして大きなニュースとなり、あれ、なったっけ!? (ANAのプレスリリース

噂では、20億円を超える金額をANAは約束しているということ。そんな企業、今まで日本にありましたでしょうか!?

だって、投資対効果(ROI)とか、計算できないですよ。

遠隔地に意識を飛ばす

先日のTEDxLAのイベントでピーターが、ANAアバターXプライズの説明をしています。(YouTube

課題の内容は「VR(バーチャル・リアリティ)やロボティクス等を駆使して、遠隔地に意識を飛ばす」というもの。遠隔地にあるアバター(つまりロボット?)に意識や五感を飛ばし、体を占有し、動かし、ミッションを達成することが課題です。

自分はアメリカにいながらアフリカにあるアバターに意識と技術を送り脳外科の手術をする。この技術をもってすればそんなことが可能になります。

では、なぜANAはこのアバターXプライズをスポンサーするのでしょうか。

ana-avatar-xprize

エクスポネンシャルな変化への危機感

ANAがこのプロジェクトをトップ主導で推し進めた、その背景には、エクスポネンシャル・テクノロジーがもたらす変化への危機感があったことは疑いがありません。

言ってみれば、このアバターのテクノロジーが実現し、普及した世界においては飛行機で移動することはもはや時代遅れとなる可能性が大いにあります。いや、間違いなくその時代は来るでしょう。

早いか遅いかだけの問題です。

そして、イノベーションの速度が加速していく原則「収穫加速の原則」から言えば、その変化はそんなに先の話ではないのです。少なくとも10年以内、早ければ数年以内に実現してしまう可能性が大いにあります。

このXプライズへのスポンサリングは、ANAが自らを航空会社として定義するのをやめたように思えます(すみません、多分に私見ですが)。それよりも大きな価値観に基づいて自らを破壊することを決意したように思えます。

考えてみれば、ANAが10年後も航空会社である必要はありません。飛行機で移動するのとまったく同じ価値がアバターで提供できるならば、それを提供するテクノロジー会社になっていてもおかしくないでしょう。

いや、そうならないと生き残れないかもしれませんね。

VR(バーチャル・リアリティ)は麻薬!?

2016年はVR元年ともいわれました。VRは確実に進化を遂げています。VRの進化はゲームの世界だけではありません。

人の移動という概念を変え、観光という概念を変え、オフィスという概念を変え、都市という概念を変えていくでしょう。

そして、我々が懸念しているのは、VRのテクノロジーが性をデジタライズしてしまうことです。すでにその兆候はあります(ご存知の通り!)。

VRによるリアルな性が他のテクノロジーに起きたようなアバンダンス(あふれるほどありふれた状態)になった場合、人間は性行為という再生産活動をしなくなり、結果として人類は滅ぶかもしれません。

人工知能による人間の置き換えを懸念するより、VRによって人類は滅亡するのかもしれませんね。