近未来の性・バーチャルリアリティ

性に関する欲望は人間の最も強力、かつ根源的な欲望であることは疑いないことでしょう。

それは時に戦争を引き起こし、王国を滅亡させました。我々の思考のかなりの部分を占めていることも事実です。

それ故に、エクスポネンシャル・テクノロジーがいかに人類と性の関係を変えていくのかは議論するに値する話題です。

ここでは、近未来のセックス、デート、パートナー探しが変わっていくかを見てみましょう。それは人類の再生産という生命科学の話題につながっています。

インターネット時代の出会い

過去、出会いという概念も非常に地域限定的であり、かつ直線的思考(リニア思考)に支配されていました。パートナー探しは住んでいる場所や通っている学校、社会的ステータスなどで非常に限定されていました。

1960年代の世界の婚姻の50%、インドの婚姻の95%は本人たちの意向とは関係ない他の誰かによって決められていましたが、現在ではこの数値は世界で15%程度と言われています。

また、1960年代では初婚年齢が女性20才前後、男性が23才前後でしたが、現在ではこれが女性29才、男性30才と言われています。(米国のケース)

文化的な変化は確実に起きており、ゲームのルールを変えています。

出会いも大部分がデジタル化されました。それにより、地域限定的でリニア思考的なものからグローバルでエクスポネンシャル思考的なものへと変化を遂げました。

米国では今日、4千万人の男女が何らかのオンラインデートサービスを使っていると言われています。(これは人口の40%に相当します)2500億円以上の市場規模になっていると言われています。 (データ)

オンラインデートは地域や社会に存在する階層を超越します。世界中からマッチングされるのです。

1995年から2005年にかけて、異性カップルがオンラインで出会う率は劇的に(エクスポネンシャルに)増加してきました。(こちらのページの一つ目のグラフ) 同性カップルに関して言えばこのトレンドは更に大きいものとなっています。2008〜9年には60%以上の同性カップルがオンラインで出会っています。(こちらのページの2つめのグラフ)

これらが社会に与えると思われるインパクトは驚愕に値します。結婚年齢の高齢化だけではなく、意思決定の先延ばしやデートのゲーム化といった影響をあたえるでしょうし、ひいては人口の増減に多大な影響を与えるでしょう。

しかし、これは序章にすぎないのです。

出会いとエクスポネンシャルテクノロジー

ごく近い将来、我々は機械学習や人工知能により、遺伝子や心理学に基づいた完璧なマッチングを提供してくれるサービスが提供されるようになるでしょう。

デートの際には拡張現実(AR)メガネがリアルタイムでデートの情報や知りたい情報を表示してくれるようになるでしょう。

例えば、彼・彼女がどう感じているかを知りたい?拡張現実が瞳孔拡大や毛細血管の微細な動きを把握して教えてくれるのでしょう。

多くの技術同様、それらは諸刃の剣です。私はそれらが世界人類にとって良い影響となることを切に願っています。

しかし、デートは表面に過ぎず、裏面、つまりセックスに関するエクスポネンシャル・テクノロジーの影響はさらに衝撃的です。

セックスとエクスポネンシャルテクノロジー

今日、セックスはデジタル化された分野であると言えるでしょう。つまり、それは非物質化され、無償化され、豊富に存在するようになりました。

ポルノグラフィーとしてのセックスは無償であり誰からもアクセス可能であり、多くのプラットフォームから利用可能なものとなりました。

2015年には、あるポーン(成人動画)サイトのレポートによれば、1年間のユーザーの閲覧時間は43億時間(870億件)にも達したとの報告がありました。

インターネットが一般的になり、オンラインストリーミング、モバイル機器や広告ネットワークが普及したことにより、ポーンは1兆円産業へと成長しました。

これらは非常に大きな負の影響を社会にもたらしています。

大学生に対する調査によれば、男児の半数以上、女児の3分の1以上が最初のポーンを13才になる前に見てしまっています。100人の大学生に調査したところ、男児の93%、女児の62%が18才より前にポーンを見た経験がありました。

ウィザースプーン協会のマニング博士(Jill Manning, Ph.D)は「ポーンはティーンズの性に関する表現や感覚、そして親密な関係に至るときの行動の全てに影響している」と断言します。

日本では、現実よりもバーチャルなガールフレンドを好む男性人口が増えてきているとされています。(つまり、コントロール可能なバーチャルなアバターと“デートしている”と感じるということです)

日本では、16才から24才の間の独身女性の45%と独身男性の25%が性的関係には興味が無いと言っているのです。

そのようなトレンドを見た場合、何か劇的な変化が起きない限り2060年までに日本の人口は現在の3分の1にまで減ります。人口が足りなくなるという重大な懸念を抱えているのです。

とはいえ、これもやはり始まりに過ぎません。

バーチャルリアリティ(VR)がもっと広がれば、必然的なものとしてバーチャルリアリティのポーンの普及は避けられないものでしょう。

それは、今よりもずっと濃密で、刺激的で、中毒的であるでしょう。そしてそれに人工知能が加わるのです。人工知能ベースのアバターとロボットと人間の関係は急速に広まるでしょう。あたかも、映画HerEx-Machinaで表現されているように。

これらが示唆すること

バーチャルリアリティは豊富なセックス、より良いセックス、終わりのないセックス、新たな体験のセックスで満たされた世界を提供するであろうことは間違いありません。

そして、反対にファンタジーの世界に人間が入り込めば入り込むほど、現実の世界との関係は逆になるはずです。

心理学者はバーチャルリアリティポーンが我々の性欲と現実世界の喜びと無感覚にさせるだけではなく、現実のセックスをより充足感の無いものに変えてしまうだろうと予測します。

ロボットや人工知能、センサーといった他のエクスポネンシャル・テクノロジーと同様、多くの人にとって、バーチャルリアリティは現実の人間関係や完全に代替するものになるでしょう。なぜなら、それらはいつでも好きなときに、より簡単にアクセスでき、安価であり、思い通りになるからです。

双子の男の子の父親としてこれは大きな懸念でもあります。

なにか良い面は無いのでしょうか?

おそらく、孤独であったり、高齢であったり、不自由を抱える人には、(たとえテクノロジー的なものであっても)何らかの親密な関係を体験させてくれるものになるでしょう。

何が起きるのか、もうすぐ分かるはずです。

一つだけ分かっていることがあります。歴史を紐解けば、雑誌からビデオ、インターネットの時代を通じてポルノグラフィーは最新のテクノロジーを常に最も早く受け入れてきているのです。

(Singularity HUB 日本語訳:原文記事 BY